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「深雪……母さんや風音達みたいに、俺達の前からいなくならないでくれ。頼む。」
「紳太郎様……」
「俺たちには…深雪が必要なんだ。お願いだ…この家からいなくならないでくれ……」
紳太郎様のお気持ちを、私はこの時、初めて知りました。
「そう言うことだ、深雪。」
旦那様は静かに、そう仰いました。
「これからも、真木家を支えてくれよ。」
「…はい。」
自然に、そう答えられました。
「では、決まったところで、私は仕事に戻るとしよう。」
そして旦那様は、部屋を出て行かれました。
紳太郎様は手で涙を拭うと、照れ笑いを見せていました。
「そうだ、学校の課題が残っていたんだ。」
そう言って、泣いた顔を見られないようにと、旦那様と同じように、部屋を出て行かれました。
あっという間に部屋には、私と倫太郎様が残りました。
「……僕のせいですね。」
倫太郎様が、ボソッと呟きました。
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