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「それを聞いた途端、奥様は駆け足で、そのご婦人を追いかけて行って、葬式の場に連れて来たそうだよ。」
「へえ~。あの奥さん、気弱そうなのにやるねえ。」
「親戚には、自分の知り合いだと言っていたが、どうもねえ……」
実際に目の前で見た私は、その違和感にモヤモヤしたものだ。
「はあ~、他人事だからこそ話も聞けるけど、自分の事となると発狂しそうだね。」
「それがね。それを見たらふと、ご主人の事が気になりだしてね。」
「何が気になるんだい?」
「私たちの知っているご主人と、関係のある女性から見たご主人は、違うんじゃないかと思えてきたんだ。」
「はあ?」
「それで、その女たちを訪ね歩いて、思い出話でも、聞かせてもらおうと思ってね。」
女将は、口をあんぐり開けて、呆れていた。
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