深雪(みゆき)

3/26
前へ
/31ページ
次へ
それから2年後の事。 私は奉公も三年目になり、旦那さまにも顔を知って頂くようになって、そのついでに、お子様達とも話すようになっていました。 割と年齢も近いこともあって、話が弾んでは、上の人に怒られる事も度々でした。 そんな18歳の夏、旦那さまに呼ばれ、部屋にお伺いした時のことでした。 「旦那様、深雪(ミユキ)です。」 扉の外で自分の名を名乗ると、「入りなさい。」と、旦那さまの声が聞こえました。 「失礼します。」 私が部屋に入ると、旦那さまのお側には、二人のお子様が、座ってらっしゃいました。 向かって右側、旦那様の横には長男の倫太郎様。 左側には、ご次男の紳太郎様がいらっしゃいました。 「深雪、今日呼んだのは他でもない。おまえに頼みごとがあるんだ。」 「はい。」 「おまえも知っての通り、妻が亡くなってもう2年になる。息子達も大きくなって、身の回りの世話をするものが必要だ。」 「はい。」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加