☆★☆ 特別編集版 予告編 ☆★☆

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☆★☆ 特別編集版 予告編 ☆★☆

【映画の予告編風 『見所』(読み所)】  大人気特撮ヒーロー、某名探偵キッズ、泥棒アクションの  脚本家・小説家の恩師から、非常に高い評価を頂きました。  特にゲームやアニメの制作者ならではの三次元的な〈アクション描写〉は必見です。  ご期待下さい!  *印 の前後は、映画の予告編のように、『カット切り替え』で繋がりません。  映画の『予告編のような映像』をイメージして読んで頂けますと幸いです。   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―    アラサー独身の【武見(たけみ)和親(かずちか)】は立て続けに不幸が起き、運にも見放されて自暴自棄だった。  ある日、ビルの屋上に向かうと、そこには神社が鎮座していた。そこで見知らぬ美少女と出会い、共に神社で参拝しようとした時、雷に打たれて意識を失う。  気づくとそこは異世界【ジーレンベルト】。目の前には、美少女【ブラダ】がいた。そして武見自身が可憐な美少女【レイリア】になっている事に気付く。   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 【第一章】A (穏やかなシーン) (予告編で次の【第三章】Aは危機的シーン)  蒼碧色の美しい瞳が望遠鏡を覗き込んでいた。  雪のように純白に輝く髪色で、透き通るように薄く白い肌の、少し耳が尖った美少女・レイリアは、村で一番見晴らしの良い教会の塔の屋根の上に登り、白いショートパンツを履いた小ぶりなお尻を突き出して望遠鏡を覗き込んでいた。  美しい雪白色の髪の内側は蒼みがかっていて、顔を包み込む程度の長さだ。 「ねぇ、ブラダ! 見て! ほら!」  「なぁにぃ?」  直下の部屋の窓から、色の濃い金髪でレイリアより背が高いブラダがレイリアを見上げて応えた。ブラダは清楚な印象の民族衣装を着ている。       *    *    *   「あ! 見てレイリア! 空溜まり!」  ブラダが指を差した。無重力下で水が浮くように、空中に水の塊が浮いている。これは空溜まりと呼ばれている。 「あ、ほんとだ! お魚がいる!」  不思議と、空溜まりに魚が2匹いる。   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―   【第三章】A   「いぃいぃぃ……、イヤァアアアアアアアアアアァッ‼」  プツンッ  レイリアの蒼碧色の瞳が〈青白く〉光り輝き、虹彩の内側に赤みを帯びる光輪が浮かんだ。風が吹くように、真っ白な髪が光を帯びて舞い上がる。  レイリアの全身は青白い炎に包まれ始め、〈青白く燃えるオーラ〉を纏ったライオンのような頭部の『獣人の亡霊』が、レイリアの身体から浮き上がってきた。  3人の男達は事態が飲み込めず、「は?」「え?」「何?」と呆然とした。  バキンッ  手枷と足枷は力づくで外され、砕かれた。 「な、何?」  バンッ  レイリアの目の前にいる男の上半身が四散した。  ブシュウウゥゥゥゥゥゥゥ…………  上半身を失った腹部から血が噴き出し、倒れた。鉄の臭いが混じった異臭。 「は? ……な、何だよ……これ……?」  残り2人の男は恐れおののき、「ヒクッ」と顔の筋肉が引き攣り、フリーズした。  真っ赤な世界――。       *    *    *    ハーディーは上空から飛竜を見下ろした。 (30秒だ‼)  ハーディーは空中を蹴るような挙動を見せる。『ファルコン・ダイブ・アタック』だ。  まるで空中に下向きのジャンプ台が存在し、弾かれるかのような爆発的加速。  ボンッ‼  ハーディーは飛竜の首に狙いを定め、瞬時に、最高速度の時速400キロ以上まで加速して急降下した。急降下時の速度はさらに上回る。       *    *    *    ハーディーは霧の中に突入し、無詠唱で旋風魔法『ヴァルテージ』を発動して乱気流を起こし、霧を飛ばしつつ、飛竜の飛翔を乱す。  しかし、既に飛竜は上昇している。今度は逆に、飛竜が上空から突撃してきた。爪ではなく、牙を剥く。  ガキィイィンッ!  ハーディーは二刀流になり、攻撃を防ぐ。通常、ハーディーはもう2本の剣を装備しているが、レイリアを背負った時に外して、ブラダに持たせていた。  ハーディーは左手の剣『鷹鸇(ようせん)』を落とした。ガイウスはその隙を見逃さず、「ニィッ」と嗤い、飛竜から乗り出て、圧縮して装備していた『竜槍』を無詠唱で元のサイズに戻し、拡大時の勢いも利用して、高速で刺突する。「ビュッ!」と風を切る。  ガンッ!  ハーディーはその攻撃を類まれな動体視力で瞬間防御魔法『エスクード』で弾く。   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―   【第二章】A (敵視点:戦闘シーン)  グチャッ  新たに現れたトロールBは、助けを呼び叫んでいたパストラを踏み潰した。トロールの足下で血溜まりが拡がる。       *    *    *    ブンッ! ガキィイィン‼  ダンケルは素早く『月下の剣』を抜き、トロールAの棍棒を背面で受けた。しかし、さすがに重さがある。ダンケルは弾き飛ばされた。  しかし、クルンッと空中で回転し、難なく着地する。 「……あまり傷つけない方が良いんだったかな?」  ダンケルは剣を鞘に納め、右腕を軽く回し、ビュンッ! と跳び上がって素手でトロールAの顔面を殴り飛ばす。  バゴォン‼  トロールAはもんどり打って倒れた。ヒュンッと風を切り、ダンケルが倒れたトロールAの胸を目掛けて、剣を突き立てた。       *    *    *  ガンッ‼  金属の大鉈はダンケルの肉体を覆い防護する『魔霊気』を貫通して、ダンケルの頭部に直撃した。常人ならこの一撃で頭部はバラバラに飛び散っている事だろう。  ダンケルは10メートル以上弾き飛ばされて、頭部左上から鼻の辺りまで、顔面の皮膚がベロンと捲れ、人体解剖人形のように筋肉が露出してしまった。       *    *    *    その刹那、コールソンが飛び上がってレッドトロールの肩に飛び乗り、首に『赫灼(かくしゃく)の剣』を突き立てた。  ザシュッ‼  しかし、レッドトロールの魔霊気によって深く突き刺さらない。 「ヴラム・ソード‼」  ボボッ!  コールソンは魔法剣士だ。剣に火炎魔法『ヴラム』をかけ、攻撃力を上げる。コールソンの『赫灼(かくしゃく)の剣』の刃に連続した炎の紋様が現れ、輝き燃える。       *    *    *    サイクロプスは地面の岩石を狙ってフルスイングした。  バゴオォンッ‼  岩石が流星群のように飛び散り、ダンケルはノーガードで直撃を受けた。  ガガガガガガ…‼  質量によって少し後退しているが、ダンケルの魔霊鎧装(まれいがいそう)は、ほぼノーガードで岩石の直撃を防ぎ、ダメージが通らない。細かく飛散した岩石の粉塵によって、再びダンケルの魔霊鎧装(まれいがいそう)が姿を現したように見える。飛んで来る岩石には魔力が〈籠められていない〉ため、ダンケルの魔霊鎧装(まれいがいそう)を貫通できないのだ。 「クハハッ‼ 今はシャワーを浴びる気分じゃねぇよ‼」       *    *    *    魔力を使わない状態では、純粋な身体能力に頼るしかない。しかしダンケルは魔力を使わずとも、高い身体能力を誇る。さらに足音も限りなくゼロにするスキルを持っていた。『デッド・サイレンス』である。闇に紛れ、足音も出さず、魔力の痕跡も残さない。これがダンケルが盗賊団の頭領たる所以だ。  ダンケルは魔力出力ゼロの状態で素早くサイクロプスの後ろに回り込んでいた。  闇の帷の暗闇の奥底にダンケルは潜む。蛇の霊薬でテンションが上がっているとはいえ、無駄に騒ぐ事はない。彼は至極冷静で無表情である。  ダンケルはサイクロプスを確実に仕留めるため、後ろから脚を切断する事も考えたが、それは止めた。ザハールのオーダーはサイクロプスをできるだけ傷付けずに殺す事だ。  ダンケルは確実かつ、最も傷付けない方法でサイクロプスを殺す事に決めた。   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―   【第一章】B   「きゃぁああああああああああ‼」  ブラダは、あまりの勢いに泣き叫んだ。  空高く舞い上がり、徐々に上昇する速度は低下していく。そして、今度は落ちる。 「ひっ‼ いやぁあああああああ‼ 落ちる‼ 死ぬ死ぬ死ぬ……!」  ブラダは失神寸前だ。アルルも目が回っている。       *    *    *    トロールは棍棒を振り回しながら追いかけてくる。 「ちょっと聞いてないよーっ⁉ あんな強い魔物がいるなんて‼」  徐々に俊敏魔法『ヴァロア・ソーマ』の効力が消え始めていたが、レイリアとブラダはまだ気付いていない。レイリアが立ち止まってトロールに向かって振り向いた。 「ブラダ! 先に逃げて‼ ……エルド・ヴラム・スフェイラ‼」  レイリアは掌を前に出し、中級火炎魔法を放つ。上半身ほどの大きさの火炎弾が掌から放たれた。  バウッ‼   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―   【第二章】B (主人公視点)    ブラダは先生のような喋り方をし始めた。ブラダが松明の柄の部分に掌を向ける。 「寒月の凍土。雪消の春泥。蔽扞の白沙(はくしゃ)。水と土の精霊よ、焼尽を拒み、赫奕(かくやく)たる焔の舞いから壅塞(ようそく)せよ……エルド・ヴォルン!」  水色に輝く光が松明の柄の部分を照らした後、少し光沢が増したように見えた。       *    *    *    魔法の『属性』の関係性は、次のようになっているようだ。                冷            〈柔〉\ /〈潤〉      生   熱─【風】─生─【水】─冷      │   │\軽│ /│\ │重/│   正=【陽】=【光】 死─【雷】─生 【闇】=【陰】=負          │/軽│ \│/ │重\│   │          熱─【火】─死─【土】─冷   死            〈活〉/ \〈剛〉                熱  【陽】のエネルギーは『生』に結びつき、【陰】のエネルギーは『死』に結びつく。       *    *    *    ドゴッ!  白い塊が、巨大蜘蛛に体当たりをしたように見えた。 「大丈夫か⁉」  それは、身長が1メートル程の小人……いや、白兎の獣人だった。   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―   【第三章】B  俺の目の前には、強面かつ如何にも変態そうな3人の男がいて、囲まれている。ちょっと腕の位置が高い『大の字』のような状態で完全に身動きが取れなくなっている。  ヤバい……恐怖で漏らしそうだ。脚が震える。声も出せない。 「ギャハハッ! コイツ、震えてるぜぇ~。さっきまでの威勢はどこ行ったんだよ?」  俺は血の気が引いて、意識が飛びそうになっている。 「いやっ! いや! やめて‼ レイリア! レイリア―ッ‼」  ブラダの声が聴こえてきた。 「ブラダ⁉ ブラダーっ‼」  まさしく手も足も出ない状況……‼ (このまま二人とも……⁉ い、いや! ダメだ! 諦めちゃダメだ‼)  俺は何もできないこの状況で「キッ!」と目の前の盗賊団員の男を睨みつけた。 「ゲヒヒッ……たまんねぇなこの顔……」  俺は顎を掴まれた。       *    *    *  ザハールの周囲に、殺された8人の蛇の盗賊団員の〈遺体の肉塊〉の球体が浮かび上がり、グルグルと回り出す。ザハールは蛇の杖を構え、呪文の詠唱を始める。 「灰色の暗闇……虚無の拍動……暗黒の地響き……永久(とこしえ)の恭順……(かそ)けき光芒……黄泉の雷光……‼」  バリバリバリッ‼ と、6本の杖の先から赤紫色の電光が迸り、六芒星を描くように連なる。「ボゥッ」と、杖の突き刺さった地面に、赤紫色に光る六芒星と不思議な紋様が描かれた魔法陣が浮かび上がった。 「精魄(せいはく)失い、彷徨いし魂よ‼ 冥府の(いざな)いを拒み、我が求めに応じ、(うつつ)に留まれよ‼」  ザハールは、蛇の杖を両手で高く掲げる。     *    *    *    魔導師は無詠唱で魔力弾『マギア・スフェイラ』を撃ち、スプレンディッドを牽制した。スプレンディッドも同じく魔力弾を撃ち返し、相殺する。  一方、アインハードは、アンダースローのような軌道で『白鳥のレイピア』を振り、切っ先で地面を斬りつけた。 「クールス・ド・ジーヴル‼」  アインハードがレイピアの切っ先で地面を斬ると、真っ白な氷結が走り、斬った場所からミノタウロスの足下まで一直線に伸びた。  パキィン!  ミノタウロスの足下が凍り付く。   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―   【第二章】C (敵視点:戦闘シーン)    その刹那、サイクロプスの目から、破滅の破壊光線『カタストロフィ・アクティナ』が放たれた。  ドゥッ‼  まばゆい輝きを放つ強烈な光の波動が発せられた。真っ白で強烈な明るさの光の波動の中に、時折様々な色が混じって虹色に輝く。火花のように周囲に光の粒が飛散している。       *    *    *    その隙をダンケルは逃さない。ガードを解いて『月下の剣』を抜く。 『無月光突(エクリプス)』            
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