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私の名前は『早希(さき)』、年齢は23歳で東京都内のショッピングモール内にあるアパレル店に勤めている。
私は生まれてすぐに母が東京都内の『星の子学園(ほしのこがくえん)』という児童養護施設に私を預けたようで、私は高校を卒業するまでこの児童養護施設で生活していた。
母は夜の時間帯に産まれて間もない私を児童養護施設の玄関に置いていったようで、職員の方が母の後姿を見つけて追いかけたけれど見失ったという話だった。
このため園長先生や職員の方は、私の母の顔も名前も分からないという話だった。
ただ、その時に手紙が添えられていて、その手紙には私の誕生日や名前が書かれていたようで、その手紙は園長先生から渡されて今は私の手元にある。
高校を卒業した私は、東京都内のアパートで独り住まいをしている。
暑さが和らいだ10月の月曜日、仕事が休みだった私は、朝からアパートの部屋の整理をしていた。
その時、久しぶりに児童養護施設を出るときに持ってきた荷物をまとめた段ボール箱を開けてみると、中から私の赤ん坊の頃に着ていたと思われるベビー服が出てきた。
このベビー服は、母が私を児童養護施設に預けるときに着ていたと園長先生から聞いている。
だから、なかなか捨てられずにいたけれど、そろそろ処分しようかなと考えていた。
このベビー服のお腹の辺りにポケットがあって、何となくこの中に手を入れてみると、何か紙のようなものが入っている感触があった。
私がその紙のようなものを取り出してみるとそれは写真で、その写真には赤ん坊を抱いている女の人が写っていた。
私には写真に写っている女の人は心当たりがなかったけれど、写真に写っている赤ん坊は、もしかすると自分ではないかと感じた。
部屋の整理を中断して昼食を済ませてから、私は久しぶりに児童養護施設に顔を出してみることにした。
児童養護施設は今住んでいるアパートから30分ほどの所にあり、玄関を入って職員の部屋に入ると園長先生がいたので話しかけた。
「ご無沙汰してます。」
私が声をかけると園長先生が、
「早希ちゃん、久しぶりだね!
元気にしてた?」
と笑顔で言葉をかけてくれた。
「はい、元気に頑張ってます。」
私が答えると園長先生が、
「それは良かった。
早希ちゃんの元気な顔を見ることができて良かった。」
と嬉しそうに話してくれた。
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