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五年前、三代目鎌倉殿実朝の鶴岡八幡宮での右大臣拝賀の日という、鎌倉でこれまでにない最も華やかな儀式の最中。誰もが思ってもいなかった惨劇が起きた。
親の仇。
そう思った甥の公暁によって、実朝は殺された。
実朝及びその後見を務める北条と、公暁の父頼家との確執を知らないものはいなかった。
そのことと、鎌倉を離れて園城寺に預けられた期間の出来事が、孤独な少年の心に暗い影を落とした。鎌倉に戻って来た時から、公暁は引きこもって心を閉ざしていた。
養い子である公暁を案じる義村に、実朝は「今更誰が何を言っても傷つくだけであろう。そっとしておいてやるほかあるまい」と寂しそうに言った。
公暁は実朝の猶子となっていた。朝廷の重臣である右大臣を朝廷の使者が臨席する重要儀式の場で殺害することは朝廷への謀反ともみなされる。
主殺し、親殺し、朝敵。
これだけの重罪人なのだ。
突然送られてきた公暁からの使者に対し、義村に迷うことは許されるはずもなかった。
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