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「姉上を抱き込んで何をこそこそしているかと思えば!主君殺しの大罪人の弔いなど許されるはずがなかろう!」
病の床にある執権は、見舞客に声を荒げた。
もっともな反応だが、見舞客、三浦義村も別段隠そうとは思ってはいなかった。
それでも、付き合いの長い義時が、肉親の情に訴えて動揺しないほどの冷血漢でないことを義村はよく分かっていたから、それによる説得を試みた。
「それでも、尼御台様にとっては孫であり、竹姫様にとっても兄弟ですから」
めったに感情を露わにすることのない義時であったが、彼は同時に、面倒見の良い人情家でもあった。礼節を重んじる生真面目な一面のある彼が、見舞客に声を荒げたことがその証と言えよう。
主君の御首は、後日、鶴岡八幡宮の北の裏山から見つかった。
「本当に手の届かぬ方になってしまわれたのですな、右大臣様」
義時は、変わり果てた若い甥の首を長い間抱きしめたまま泣き続けた。
数日前、義村が養い子に対してそうしたように。
決定的な違いと言えば、多くの者に慕われ惜しまれる命であるか、許されざる大罪人であるかということだ。
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