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仏のように澄んだ生前の実朝の瞳が思い出される。
「もう、許してやろう。小四郎叔父。そして、叔父御も自分を許して、こちらへ来るといい」
義時は、浄土の実朝がそう言った気がした。
だが、義時は、義時が公暁と義時自身を許さないことで、義時自らが地獄に落ちることになろうとも、それでもよい、例え実朝が許したとしても自分は決して許すまいと思った。
「謀反人の分際で、死してなお、叔父君に甘えようとは!」
「執権殿は右大臣様の親代わりだったといってもいい。若君にとっての右大臣様もそうなのです。人は皆、仏の愛し子といいます。子が親に甘えてはならぬ道理はありますまい」
「右大臣様は賢く、心の強いお方だった。何も語らずとも全てを理解して受け止めて、その痛みにひとり耐えておられた。詮無いことだが、貴殿の養い子はどうしてそれができなんだのか」
苦渋の表情の義時の瞳から涙がこぼれた。
その年の秋、義時は静かに逝った。
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