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おじいちゃん
ネムは悪徳セールスマンみたいに流暢に説明をした。
『フォッフォフォッ、それは難儀だったのォ?』
電話の向こうでおじいちゃんは楽しそうに笑って応えた。
「いやいやァ、それで今晩からこの子たちが家に泊まるって言うんだけど」
私はおじいちゃんからも注意してほしくて告げ口をした。
しかし私の思いとは裏腹な答えが返ってきた。
『フォッフォフォッ、そうか。だったら咲耶の事は任せたぞ』
おじいちゃんは、のん気にネムたちに私の面倒を頼んだ。
「あッ、あのねェ、おじいちゃん。そういうことじゃなくって注意してよ!」
すぐに私はツッコみをいれたが、暖簾に腕押しで、まったく手応えがない。
「フフッ、おじい様、咲耶さんの事は私たちにお任せください」
ネムは自慢げに胸を張って微笑んだ。
「安心しておじいちゃん!」
シャオランも安請け合いをした。
「おいおい、あのねェ……」
すぐに私はツッコみを入れようとした。
『フォッフォフォッ、じゃァワシはもう少し諸国を漫遊してから帰るからな』
そう言うおじいちゃんの声に混ざって。
『フフッ、岩爺ちゃんったらァ』
スピーカーからヤケに色っぽい女性の声が漏れて聞こえた。
「ンッ、なによ。おじいちゃん。誰か、若い女の人と一緒にいるの?」
すぐさま私はツッコんだ。どうも怪しすぎる。
『いやァ、ち、違うんだ。この子は』
『キャッキャッ岩爺ちゃん』
電話の向こうがヤケに騒がしい。どっかのキャバ嬢だろうか。
「ううゥッおじいちゃん。何やってるのよ」
すぐさま私も追求しようとするが。
『いやいやッ、じゃァ咲耶も達者でな』
慌てて祖父の岩爺はボロが出ないうちに通話を切った。
「なッ、もしもしィ、おじいちゃん。何なのよ。今の若い女性の声は。おじいちゃんったらァ!」
即座に祖父の岩爺に呼びかけても返事はいっさいない。
「フフゥン、じゃァおじい様の許しも得たので、今夜からご厄介になりますね」
ネムとシャオランはその夜から我が物顔で居座ることとなった。
「はァ?」
どうやら諦めるしかなさそうだ。
私は強引にネムとシャオランに押し切られた格好だ。
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