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第1話 俺と結婚するか?(5)
「む、無理なんかしてないっ」
「第一、俺との関係切れてねえじゃん」
「だって、それは……高山さんとセックスすんの、気持ちいいから」
「その時点で無理あるだろ。相手にも悪いとか思わないのかよ」
「もしかしたら、本気で好きになる可能性だってあるだろ」
「実はバイでした、っての? じゃあ、抱こうと思えば女も抱けるんだな?」
ぐうの音も出ないとはまさにこのことだ。侑人は口をつぐみ、視線を逸らすことしかできなかった。
ややあってから、やっとのことで言葉を紡ぎ出す。
「……高山さん。互いのプライベートには口出ししない、って決めなかった?」
「この件に関しては、前々からお前が話してきたことだろうが。てっきり愚痴だとか相談の類だと思ってたんだが?」
「そりゃあ、こんなこと話せるの……あんたしかいないし」
侑人がぼそぼそと呟けば、高山は「そうかよ」とだけ返してきた。
基本的に侑人は猫被りだ。昔からそうだったが、いつだって爽やかで人当たりのいい好青年を演じており、適度な距離感でほどほどに好かれる存在として過ごしてきた。
しかし、そんな仮面もこの男の前では剥がれ落ちてしまう。
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