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玄関先で恭介を見送ったあと、侑人はベランダにいる高山のもとへ足を運ぶ。
高山は背を向け、手すりに寄りかかりながら煙草を吸っていた。こちらが声をかけると、すぐに振り向いて柔らかく微笑んでくる。
「お疲れさん。丸く収まってよかったな」
「あー、もしかして聞こえてた?」
隣まで歩みを進めて、侑人も手すりにもたれかかる。
高山は煙草を咥えながら笑みを深め、いたずらっぽく言葉を返してきた。
「まさか、あそこまで言ってくれるとはな」
「そ、それ言ったら、あんたの方がよっぽどだろ。あんな恥ずかしい台詞、よく言えるよな」
「俺は誠意をもって、思ってることを口にしただけだ。……ま、お義兄さんには『侑人のこと傷つけたら、気絶するまでぶん殴る』って脅されたが」
「兄さん~っ!」
侑人は頭を抱える。その姿を見て、高山はおかしそうに笑っていた。
「安心しろよ、そんなことにはならないから」
「……本当に?」
「ああ。誓ってもいいぜ」
言って、頭の上に手を置いてくる。ぽんぽんと優しく撫でられたあと、そのまま引き寄せられて軽く唇が重なった。
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