第8話 突然のカミングアウト(7)

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 しかし、誰に見られているかもわからない状況で、このまま続けるわけにもいかないだろう。名残惜しさを覚えながらも互いに唇を離し、少しの間ぼんやりと見つめ合う。  先に動いたのは高山だった。頭を掻きつつ手すりに向かいなおすと、気を落ち着かせるかのように紫煙をくゆらせる。  その横顔は、なんとなくいつもの余裕がないように思えた。そっと口から煙草を離し、静かに煙を吐き出したところで口を開く。 「なあ、侑人」 「うん?」 「俺たち、本当に結婚するか?」  ぽつり、とさりげないことのように告げられた言葉。  高山の一言に侑人は息を呑んだ。心臓が大きく跳ね上がり、鼓動が速まるのを感じる。 「高山、さん……?」  二度、三度とプロポーズまがいの言葉を告げられてきたけれど、雰囲気がこれまでとは明らかに違う。  いつだってキザな台詞を平然と言ってのけた高山が、今回ばかりはこちらを見向きもしない。切れ長の目を伏せて厳かに言葉を紡ぎ出す。 「誰よりも愛してる。一生かけてお前のこと幸せにするから――どうか、俺を信じてずっと傍にいてほしい」
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