第8話 突然のカミングアウト(7)

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 熱烈な愛の告白に圧倒され、侑人は息をするのも忘れて立ち尽くした。全身の血液が沸騰するかのような錯覚に陥る。  世の恋人たちは、一体どのように愛を交わしているのだろう。恋愛経験の乏しい侑人にとっては難題に思えてならないし、何もかもが手探りだ。  けれど、この胸にある確かな感情は――ずっと一つのことを訴えかけていた。 「バカ、もう離れられるわけないだろ。……俺をこんなふうにした責任、ちゃんと取ってよ」  侑人はそう告げながら、高山の肩口に額を押し付ける。  嬉しさと恥ずかしさと、いろいろな感情が入り混じって、どんな顔をすればいいのかわからない。だから顔を合わせることもなく、ただ寄り添って不器用に言葉を返した。  高山はそんな侑人の頭に手を回し、愛おしげに撫でてくる。 「男に二言はねえよ」  その声に顔を上げれば、やっと二人の視線が交わった。高山の眼差しはどこまでも優しく穏やかで、それでいて強い意志を秘めていた。
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