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「っ、あは……やっぱ高山さん、ちょっとクサすぎ」
「うるせえな。お前だって満更でもないくせに」
照れ隠し半分で茶化せば、高山も同じように返してくる。それから、どちらからともなく笑みがこぼれ、気がつけばクスクスと笑い合っていた。
「侑人がその気なら、とりあえず式でも挙げるか」
「えー、本気かよ? 普通はその前に同棲するもんだろ」
「それもそうか。じゃあ、同棲してしばらく経ったらだな」
カラっとした口ぶりについ苦笑してしまう。どこまで本気なのかわからない話をしながらも、今この瞬間が愛おしくてたまらなくなる。
侑人はしっかりと頷いたのちに、高山と手を重ねた。
「……ふつつかものですが、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
そんな言葉を交して、再び寄り添い合い――そして、ともに歩む未来に思いを馳せる。夢に描いてきた光景は、もう手を伸ばせば届くところにあった。
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