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日本での法的効力はないものの、現地では正式に婚姻していることが認められるし、戸籍にもその記載が加えられる。また、高山が務めている外資系企業の本社はニューヨークにあるため、もし転勤になった場合、婚姻関係にある相手のビザも会社側がスポンサーとなって申請できるとのことだ。
まさかそこまで考えてくれているのかと恐れ入るものがあったが、今後を思えばなんとも嬉しい限りである。こちらだってそれなりの覚悟はしているし、何があっても高山についていくつもりなのだから。
(とはいえ、結婚式って……なあ)
侑人はごくりと唾を飲み込む。緊張で顔を強張らせていたら、高山が軽い調子で肩を揉んできた。
「そう身構えんなよ。せっかくの結婚式なんだ、目一杯楽しんで最高の日にしようぜ」
「高山さん……」
「タキシードだって似合ってる。感動のあまり泣きそうなくらいに、な」
姿見を覗き込んでそう続ける高山に、侑人もいくらか緊張がほぐれた心地がした。高山はこんなときだって相変わらずだ。
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