1516人が本棚に入れています
本棚に追加
/243ページ
「そ、それはさすがに言いすぎだろ。高山さんの方が何倍も似合ってるってのに」
言いつつ、あらためて自分たちの格好を見直した。クラシカルなタキシードに、ベストとボウタイを合わせたスタイルは、いかにも新郎といった美しい装いである。
ただやはりと言うべきか、顔立ちといいスタイルといい、高山には到底及ばない。高山のタキシード姿はあまりにも様になっていて、ついドキリとしてしまうものがあった。
「そうか? まあ、確かになかなか男前かもな」
「自分で言うなって……でも、本当に格好いいよ」
「はは、ありがとな。――っと、そろそろ時間だ。行こうぜ」
そうこうやり取りをしているうちにも、挙式の時間が迫ってきていた。促されて歩き出せば、高山は侑人の腰に手を回してくる。
エスコートしてくれるのは嬉しいのだが、妙に気恥ずかしくて落ち着かない。もちろん風土の違いとして偏見の目は一切なく、現地の人々は「おめでとう!」と祝福してくれたものの、それとこれとは別問題である。
最初のコメントを投稿しよう!