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高山は軽口を叩きながら、こちらに覆い被さってくる。
時刻は深夜十一時過ぎ。二人の姿はラブホテルの一室にあり、お互い一糸纏わぬ姿で肌を密着させていた。
とはいっても、決して恋人などではない。ふとしたときに連絡しては、後腐れなく体を重ねるような間柄だ。
「っあ、ちょ――ナカ、かき回すなっ」
柔らかくほぐれているそこに、高山の太い指先が潜り込んできた。
二本の指をバラバラに動かされて、ローションがクチュクチュと卑猥な水音を奏でる。こうしてわざと音を立ててくるあたり、タチが悪いというか厄介だ。
「かき回してほしいんだろ? ほら、すっげえエロい音。俺の指、美味そうに咥えこんでるぜ?」
「くっ、最悪……いちいちオヤジくさいんだよ!」
加えてこれだ。表面上は抗議してみせるも、いやらしい囁きに興奮してしまう自分が嫌になる。
「好きなくせに」
高山が口角を上げて言う。
今さら何を言っても無駄なことはわかりきっていた。なんせ、この体は嫌というほど知り尽くされていて、もう知らぬことなど存在しないようなレベルなのだから。
「ん、っは、好きなわけあるか……っ!」
それでも口ごたえしてしまうのは性分ゆえだろう。
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