第1話 俺と結婚するか?(1)★

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 高山は軽口を叩きながら、こちらに覆い被さってくる。  時刻は深夜十一時過ぎ。二人の姿はラブホテルの一室にあり、お互い一糸纏わぬ姿で肌を密着させていた。  とはいっても、決して恋人などではない。ふとしたときに連絡しては、後腐れなく体を重ねるような間柄だ。 「っあ、ちょ――ナカ、かき回すなっ」  柔らかくほぐれているそこに、高山の太い指先が潜り込んできた。  二本の指をバラバラに動かされて、ローションがクチュクチュと卑猥な水音を奏でる。こうしてわざと音を立ててくるあたり、タチが悪いというか厄介だ。 「かき回してほしいんだろ? ほら、すっげえエロい音。俺の指、美味そうに咥えこんでるぜ?」 「くっ、最悪……いちいちオヤジくさいんだよ!」  加えてこれだ。表面上は抗議してみせるも、いやらしい囁きに興奮してしまう自分が嫌になる。 「好きなくせに」  高山が口角を上げて言う。  今さら何を言っても無駄なことはわかりきっていた。なんせ、この体は嫌というほど知り尽くされていて、もう知らぬことなど存在しないようなレベルなのだから。 「ん、っは、好きなわけあるか……っ!」  それでも口ごたえしてしまうのは性分ゆえだろう。
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