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第9話 結婚式と、それから…(8)
◇
翌朝。カーテンの隙間から差し込む朝日で目を覚ます。
目覚めは大きなキングベッドの上だった。隣には高山が裸のまま眠っていて、侑人は昨夜の情事を思い出しながら、筋肉質な胸板に擦り寄る。
素肌同士が触れ合う感触が心地いい。あんなに激しく愛し合ったというのに、体は綺麗にされていて不快感もなかった。きっと眠っている間に後始末をしてくれたのだろう。さすがに足腰は少し痛んだが、それもなんだか幸せな痛みに思えた。
(今でも夢みたいだ……)
ごろんと寝返りをうち、天井に向かって左手を掲げる。薬指には結婚指輪が輝いていた。
結婚したことで何かが大きく変わるというわけではない。また、日本で同性婚が認められるのもいつの日かわからない――今後、パートナーシップ制度を受けるか、養子縁組をするかといった話もまだ二の次である。
ただ、愛し合う二人が《夫夫》として一つの〝家族〟になったのは確かだった。
決して楽しいことばかりではないだろうし、困難だって待ち受けているかもしれない。それでも、生涯の伴侶として歩んでいく未来を選んだのだ。
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