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「じゃあさじゃあさ、中学の時は居た?」
「居ません」
「好きな人くらいは居たっしょ?」
「居な…」
『こんなもん二度と寄越すな!』
私があげたチョコを川に投げ捨てたはーちゃんの顔が思い浮かんで 慌てて顔を横に振った。
「どした?」
「なっ、なんでもない!」
「ふ〜ん?…あ〜あ〜、高校生になったらもっとこう漫画とかドラマで観たような甘酸っぱい恋のひとつやふたつ出来ると思ったんだけど期待して高校生になってガッカリ。現実はこれだもんなぁ」
20点と赤ペンで書かれた期末試験のテスト用紙を見て睦美は盛大にため息ついた。
「1に勉強、2に勉強、3・4含めて5に勉強。恋より勉強しろって、そりゃ高齢化が進むわけだよ」
「高齢化はテストに関係ないんじゃない…?」
「いいや関係ある!大いに関係ある!勉強ばっかやらせて若者を働き詰めにさせるから恋愛する時間が減って仕事が恋人ですって言う人が増え過ぎてんのよ!だから世の中お爺ちゃんお婆ちゃんだけが増えて来てバスだってタクシーだって…」
「なぁに一丁前に偉そうな事言ってんだ。学生は素直に黙って勉強してろ。それが学生の仕事なんだから」
ちょうど今教室に入って来た担任の松永先生はそう言って睦美の頭を丸めたプリント用紙でポンと叩いた。
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