君、片想う。

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それは、4限目の体育の授業の後に来た。 「今日のバスケも、裕が一人で大活躍だったな」 「元バスケ部だからな。負けてたまるかよ」 「俺は、運動全般ダメだから羨ましいよ」 「さっさと着替えて昼飯にしようぜ」 「だな」 山田は、バスケ部の元部長。 インターハイには進めなかったけど、好成績は残している。 それにひきかえ中川は、ずっと帰宅部だから仕方がない。 制服に着替え始めたとき、ポケットからひらりと紙が落ちた。 「んー?」 『橋本くんが好き』 「え!?」 「どうした?」 「な、なんでもない。放課後に親から買い物を頼まれてたの思い出しただけ」 「先に食堂に行ってるぞ」 「う、うん」 先に着替えが終わった2人は、何を食べようか相談しながら教室から出て行った。 改めて、落ちてきた紙を確認する。 『橋本くんが好き』 橋本くんって、俺のことだよな。 俺の制服のポケットに入ってたんだし、そうだよな。 好きって、LIKEじゃなくてLOVEの? 「これが告白・・・。てか、誰からなんだ?これ」 紙には差出人の名前が書かれていない。 表にも裏にも書かれていない。 光に透かして見たけど書かれていない。 普通は手紙でさ。 放課後に中庭で待ってます、とか。 そういうのじゃないのか? 手の中にあるのは、何の変哲もないただの紙きれ。 「いたずらか?誰だよ、まったく」 とりあえず、紙をカバンに突っ込んだ。 食堂で、先に来ていた2人と合流する。 「やっと来たか。何してたんだよ」 「実はさ・・・。いや。なんでもない」 「早く食べようぜ」 「だな」 二人に言うまでもないか。
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