君、片想う。

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その日の夜。 宿題をするためにカバンを開けたら紙が出てきた。 「ラブレターじゃなくて残念」 丸めてゴミ箱に投げ込もうとした手を止める。 このラブレターだと思った紙への違和感。 手紙ではない。 差出人がない。 何よりも手書きではない。 機械文字だ。 パソコンか何かで書いたのをプリントアウトしたのか? 紙はハガキを四等分にしたくらいの大きさ。 文字はその中央にある。 A4用紙とかでプリントアウトしてから、ハサミで切り取ったのか? いや。 紙の端は綺麗に揃っている。 初めからその大きさだったんだろう。 誰かのいたずらだとした場合。 こんな手の込んだことをするだろうか? ラブレターだとしても同じことが言える。 手紙を書いたほうが早い。 「考えても答えはでなさそうだな」 3日後。 また制服のポケットに入っていた。 『橋本くんともっと話がしたい』 差出人もない。 今回も機械文字だ。 「あり得ないだろ・・・」 前回は体育の授業後。 体操服から制服に着替えてるときだった。 今回は制服を脱いではない。 誰かにポケットを触られた訳でもない。 いきなり現れたのだ。 ポケットの中を探ってみても何もない。 「どういうことなんだよ・・・」 謎の紙は届き続けた。 『橋本くんに勉強を教えて欲しい』 『橋本くんは今何してるのかな』 『橋本くんがやっぱり好き』 『橋本くんは南さんが好きなのかな』 不気味でしかなかった謎の紙。 伝わるのは誰かの恋心。 差出人は誰なんだろう。
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