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「エリちゃん、私、合コン参加するよ」
「本当? それはいいとして、彼氏いない歴22年の話は?」
「それは……もう少し後で話してもいい?」
「こういう処で、こういう短い時間では話せないってこと?」
「まぁ……って、そんなに大層な理由がある訳じゃないんだけどね」
「こっちとしては勿体ぶられると益々色んな想像しちゃうんだけどな」
「んー……勿体ぶっているつもりじゃないんだけど……」
「まぁいいか。話せる時が来たら話してよ。何か力になれることがあるかも知れないからさ」
「力になるって」
「郁美、彼氏欲しいんでしょう?」
「それは……そう、だけど……」
「男嫌いって訳じゃない。結婚だってしたいし子どもも欲しい」
「いつかは……ね」
「それじゃあ頑張って彼氏作ろうよ。協力は惜しまぬ!」
「ぷっ……。だから時代劇っぽいよ、語尾が」
「笑うな──っと、早くご飯済まさないと、もうこんな時間」
「お昼ってあっという間に終わっちゃうよね」
「だよね。午後からは眠気との戦いだー」
「同じく。少しは体、動かせるといいんだけどね」
「事務じゃ精々お茶汲みの時とコピーの時くらいかな。といってもそれも多くないしね」
「だね」
(ふぅ……なんとか切り抜けれたかな)
上手く話が切り替わり安堵のため息を心の中で吐いた。
突然振られた恋愛話に戸惑い、どうやって私のおかしな恋愛観をエリちゃんに話そうかと迷ったけれど、ある程度の時間が稼げてよかったと思ったのだった。
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