私がきれいにしたいもの

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 どこにいったんだろう?  ユリは今日付け替えたばかりのマスコットを探していた。高校生の頃、友達とお揃いで買ったキーホルダー。スマホにつけていつも一緒にいたけれど、そろそろ黒ずみが気になってきていた。  オレンジ、黒、白の3色だった猫は、白い部分が灰色になり、オレンジの部分が茶色くなり、元の姿とはかけ離れた猫になってしまっていた。それでもやっぱり、思い出の品に違いない。高校を卒業して3年。もうお揃いにした友達と会うこともないけれど、インスタやツイッターで生存確認するたびに、楽しく過ごしていた日々と、スマホについた猫とが思い起こされる。  紛失に気づいたのは、取り替えた日の夜だった。もう歯を磨けば寝れるという時になって、そんなことがあったと、もう使わなくても大事にとっておきたいと、思い出したのだった。  あたりを探しても、それは出てこなかった。今日持っていたカバンも、マスコットを付け替えたリビングも探したけど、どこにも猫はいなかった。何度も同じ場所を探して、日付をまたいでしまっていた。  「これはきっと『もう高校時代に囚われるのはおやめなさい』ということなのかな?」  自分の中でなんとか辻褄が合う物語を作って自分に言い聞かせた。そうでもしないと、明日は1限から講義があるのに寝つけそうにはなかったから。
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