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 ――チーン。 「行ってきます。お母さん」  高校生三年目の春がやってきた。  何も変わらない。平凡な日常。 「六花(りっか)!じゃあもう父さん行くけど、七瀬(ななせ)のこと頼んだよ!?」 「はーい」  お母さんは私が幼い頃に病気で亡くなってしまい、父・私・弟の三人暮らし。 「七瀬―?準備できた?」  弟は私の2つ下で、今日から同じ高校に通う一年生だ。 「待って待って!まだあとちょっと!!」  如月(きさらぎ)七瀬、どうやら高校デビューをするようで、髪の毛を茶色に染め、耳に穴を開け、朝っぱらから初めてのピアスに苦戦中らしい。 「私生徒会の仕事あるからもう行くよ」  如月六花。黒髪セミロングのどこにでもいる普通の女。一応生徒会長をやらせてもらっている。 「待って待って片っぽ出来たから!あとこっちだけ!!」  私は履きなれたローファーに足を通し、腕時計で時間を確認する。  最低でもあと3分後には出ないと会議に間に合わない。  七瀬ももう子供じゃないんだし、最悪置いていくか……  ――バンッ! 「お待たせ!!!」  と呆れていると、見た目だけは小奇麗に整えられた少年が洗面所のドアを勢いよく開けてやってきた。
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