第25話 巻き込む人、巻き込まれる人

11/70
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/225ページ
 そんなだから、私はお風呂の準備ができるまでの間、ひとりで中庭の植物を眺めていた。  途中で四季さんが来てくれて少しお話したけれど、男性陣のお風呂が沸いたことを知らせるのが目的だったようで、すぐにこの場を離れていった。  明日と明後日はどうしよう。  これまでとは違った夜を過ごすことになりそうで、私は少しだけ不安になった。  みんなと同じように自室でのんびりしていればいいんだろうけど、なぜかそうする気にならないのだ。  夜九時以降は普段から自室にいることが多いから、その時間になれば何も気にせず自分の部屋に帰れると思うが、七時過ぎともなると、時間の上手な使い方がわからないのである。  それからも私は、お風呂に入ったあとは中庭やリビング、自室を行ったり来たりする感じで夜の時間を過ごした。  その間にカナンは一度も部屋から出てこなくて、それが無性に寂しかった。  カナンも暑さには屈するんだねと、そんなことを思いながら、私は夜九時になったところで自室へと帰った。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!