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「そんなに人気なのか?これ」
「そちらは『雛の空鈴』といいます。御祭神のお力がしっかりと込められた、縁結び守りですよ」
まだ若そうな水色袴の男性がそう教えてくれる。聞くと宮司見習いとのことだった。
「これが縁結びのお守りですか?ただのでかい鈴みたいだけど」
鮮やかな空色の鈴には、表面に雛草らしき小花が描かれていて目を引く華やかさだ。
「正式には想い人へ贈るものです。贈ったお方が運命のお相手ならば自然と惹かれ合い、結ばれます」
「運命?なんか女子が好きそうなフレーズ……」
思わず笑ってしまってしまったと口を押さえる。でも気を悪くした様子のない彼もまた笑っている。
「運命の赤い糸というのは存在するんですよ」
「ロマンチストですね、宮司見習いさん」
「相葉といいます」
眼鏡を直しながら会釈してくれた相葉さんは、まるでそんな相手がいることを確信しているようだ。
「最初から結ばれたご縁もあれば、ご縁が深まってから結ばれる糸もある。まあどちらにせよ、鈴ですから自然とね。贈り主の運命の相手のところへ転がり込むんですよ」
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