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「その後は大丈夫だったのか?嫌がらせとか」
「なにもされてないよ。ただ、周りに『俺を映画に誘っておいてドタキャンした勝手な女』って言って回ってたけど」
「はあっ!?」
「しかもね。そんなこと言っておいて、先週は『バラでも見に行こうぜ』とか言っちゃって」
「なんなんだそいつは……」
「嘘つきと行くわけないでしょ!って、また大声で言って逃げてやったよ」
ウケるでしょと、詩織は軽く笑っているが俺は怒りで震えた。その勢いで、コーヒーミルの横にあった液体コーヒーをコップに注いで一気飲みする。
ん?思ったより甘いな。
「ああでもね。みんな信じなかったよ。『なにいってんだこいつ?』って相手にしなかった。後で友達に聞いたら、人の悪口ばっか言って孤立してる男だから誰も信じないよって言ってくれた」
なんなんだよ。
そんな奴が詩織につきまとうとか……心配すぎる。
「2年生になって選択科目も増えたし。離れられる機会も増えるからいいんだけどね」
「なら……いいけど」
怒りからなのか、自分の鼓動が急に早くなる。さらに身体が左右にフラつくのでなんとか支える。
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