今日しか無い毎日の中で

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「さっさと引っ込め!!」 「二人の邪魔とか死刑にしろ死刑!!」 「二人の気を引こうとして恥ずかしくないのかしら」 そんな言葉が次々に浴びせられ、私はディルクと呼ばれた男性の手を離そうとしたがビクともしない。次第に姫を放置して私の腕を掴んでいるディルクにも罵声が飛び始めてしまう。 「ディルク!いい加減にそんな小汚い者は置いておいて早く私と」 「やめた」 姫が腰に手を当て呆れたように言えばディルクはポツリと呟くように言った。 「やめた?何を言って」 「騎士団長をやめる。あんたとの結婚もやめる。そして…」 姫を見ながら言っていたディルクは私に向き直る。 「あんたを諦める事もやめた」 そう言って腕を引っ張って歩かれ皆ぽかんとして私達を見ている。私を諦める事をやめる?私達は初対面ではないのだろうか? 「ディルクよ。そなたを騎士団長として育ててやった恩をあだで返すつもりか」 その声の方を見れば王冠をつけた男性がこちらを見ていて、私はその人が国王なのだとすぐ理解出来た。皆がディルクと国王の方を向いている。 「あんなじゃじゃ馬娘の相手などできん。それに俺の邪魔をするなら…」 私の腰を抱き寄せて国王と平然と言い合うディルクを引き離そうとするが、全く離れられなくて大人しくしているしか出来なかった。
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