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口をゆすぎ水を吐き出していれば口内がやっと不快感から解放された。その様子を傍で腰の剣に手をかけながら見られていたが、足音が近付いてきてそちらを見れば他の盗賊達も囚われている。先程の二人組みも連れていかれている。
「隊長これで全てです」
「そうか。先に帰って報告を」
「かしこまりました」
全身鎧に身を包んだ騎士達は盗賊を連れて行ってしまい、この無表情の騎士と二人きりになってしまった。あ…そういえば…
「助けていただきありがとうございます」
立ち上がりマントで体を隠しながら頭を下げる。男の裸なんて見たくもないだろうし必死に隠すが、このマントいくらくらいするのだろう…
「怖くなかったのか?」
「怖くても明日には忘れますから」
不意に尋ねられた質問に笑みを浮かべる。そうかと短く返事をされ、歩み寄られ抱き上げられ馬に乗せられ騎士も馬に跨り後ろから腰を抱きしめられ馬が森を駆け抜けた。
意外と遠くらしくまた森を駆け抜けている間に夜も更けてきてしまう。肌寒くて震えてしまい、騎士は野営地を見つけそこで馬を降りて私も降ろしてくれる。
その野営地は丸太が椅子替わりに置かれていて、何回もここで焚き火がされていたようで地面はススで黒くなっていた。
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