今日しか無い毎日の中で

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目を覚ますと森の中で、身動きが取れないと思ったら見知らぬ騎士に腰を抱き寄せられていた。体を見れば服が破れていて、たぶんこの騎士のマントで覆われている。 まるで彫刻のように美しいその騎士は私が目を覚ました事に気付いたのかゆっくり目を開ける。綺麗な瞳が私を捉え、目が合えば手を離される。 「俺の名はディルク・アーガイルだ。誘拐されたあんたを父親の元へ送り届けてる最中だ」 「あ、ありがとうございます」 この人は私が記憶が無くなる事を知ってくれている。父様から聞いたのだろうか?この服の破れは誘拐犯によってやられたものだろうか…? 離れればディルクは立ち上がり荷物からパンを取り出し丸々一つ渡してくれて、馬に乗せてくれて荷物をまとめて火を消してから馬に乗りまた森を駆け抜けた。 少しずつちぎりながら食べていたが、この騎士は何も食べていないなと思い、騎士の口元へパンを運んでみる。 一瞬訝しげな表情をされたが、目を細めて食べてくれる。自分が食べてディルクに食べさせを繰り返していればパンが無くなり、どうしていいかわからずそのまま大人しくしておいた。 それから食事もなくやっと夜に街へつき、そのまま街の中を走らせ自宅の前に着いた。王様達の城に比べたら全然だが、そこそこ豪邸でメイドも二人居る。
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