今日しか無い毎日の中で

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降ろされて騎士が走り出そうとすれば扉が開き父様が走ってきた。父様は綺麗な茶髪だったはずだが白髪混じりになってしまっている…私の記憶のせいなのか私が誘拐された心労から白髪混じりになってしまったのか… 「ありがとうございますディルク様」 様…と、つけられるくらいなら本当にこの人は強く凄い人なのだろう。私はこの人のものであろうマントを返そうとしたが、騎士は私を一瞥して馬を走らせてしまった。 「おぉソレイユ…おぉ…よく無事で…」 「父様…このマントたぶんあの方のものなのですが…」 「明日私が返しにゆくよ」 二人で家の中へと入りちゃんとした食事を口にする。二人きりで食事をしていて、母様の姿が見えなくて辺りを見回す。 「ソレイユ。母さんは泊まりにでかけたよ」 「あぁ、そうでしたねすみません」 何も覚えてはいないが、笑みを父様に向ける。また食事を再開し、風呂へ入り寝巻きに着替えてマントをたたんで机の上に置いておく。暖炉やベッドもあり、机や椅子もあり私は机にマントを置いて椅子へ座る。 羽根ペンを手に取り紙にメモを書いてゆく。今日城へと向かいディルクと言う騎士へマントを返す事。父様に託した方が簡単だとは思うけれど、ちゃんと自分で返したかった。そのメモをマントの上へ置いて電気を消し、ベッドに入り眠りについた。
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