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翌朝目が覚め、着替えてふと机の上に目をやると見覚えの無いマントとメモがある。手に取って読めばどうやらディルクという騎士にこのマントを届ける事になっているらしく、朝食を食べてからマントを持ち城へと向かう。
街は中世ヨーロッパのような雰囲気で、人々の活気で溢れていて私はその中を歩いて城へ向かえば門の前には全身鎧を纏った騎士が両側に立っていてその一人に声をかけてみる。
「あの、ディルクという方はいらっしゃいますか?」
「名前と要件を言え」
「ソレイユ・マグダレンと申します。このマントを返したくて」
「しばし待て」
その騎士は中へと入ってゆき、私がしばらく待っていれば騎士と共に男性がやってきた。使用人とも騎士とも王族とも違う雰囲気の男性で、どういう人なのだろうと思ってしまう。
黒い服に黒いズボンに黒い靴だが、筋肉質なのは服の上からでもはっきりわかる。その男性は私の元へ真っ直ぐ歩いてきて目の前に立たれ、私はその男性を見上げてしまう。私より頭一つ分かそれより背が高いその男性は、じっと私を見下ろしている。
「わざわざ返しに来たのか」
「はい。昨日の私はどうしても自分でこれが返したかったのだと思います」
私が差し出せばディルクはそれを受け取り、私は一礼してその場を後にした。きっと明日の私はこの事も覚えて居られないのだろうな…
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