ただ、好きなだけ

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「──!....」 愛おしそうにそう言いながら抱き締める腕に力を込める凛太郎の言葉に別の意味で涙が流れていく。俺だって──ずっと凛太郎にこうして触れたかった。夢じゃない。自分達は両想いなんだ。暖かい体温がじんわりと伝わってくるのを覚えながらゆっくりと無言で背中に腕を回して同じ様に抱き締め返す。ぐっと唇を噛み締めた彼は俺の様子を見るなり「..動くね」と躊躇いがちに言った後、ゆっくり動き出す。 「──っ、んんっ...!」 最初は圧迫感で気持ち良さなんて皆無だと思っていたのに。ゆっくりと同じリズムで突かれる度に何度も中が擦られて気持ち良くなってきて声が抑えられなくなってきた。凛太郎は自分に気遣ってくれているのか、あまり強く突かない様にゆっくり、優しく行ったり来たりを繰り返している。 「春っ──好き。好きだよ..」 「!」 閉じていた目を開けるとポタッと目の横に水滴が落ちてくる。顔を上げると愛おしそうな眼差しで自分に何度も好きと言う凛太郎がいた。汗を流して必死に腰を揺さぶる姿を見て、胸もあそこもじんわりと熱くなる。 (──あぁ。これが..これが幸せなんだ) 好きな人が好きと言ってくれる。 当たり前ではないこの奇跡を改めて実感し、背中に回していた手を彼の両頬に添えて泣き笑いの様な表情で返す。 「俺も──俺も好き。凛太郎の事が大好きだ」
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