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「すいませーん、空いてる人いませんかー?」
今日も習慣のように、ダメ元で仲間を申請する。
もう既に諦めの境地。
「キミか。毎日来てくれて悪いけど、まだ無名のキミに集まってくれるような人もなかなか…。」
受付の者は色気のある美女でもなければ、優しいお姉さんでもなく、ただのスキンヘッドの髭面のオッサン。
「そうですよねー。はぁ、知ってました…。」
「あ、いや、でも!一人だけ心当たりが!!」
「わかりました、すいません。また出直しま…って、え!?」
いつもと違う反応。
俺は咄嗟にギルドのオッサンに詰め寄っていた。
「心当たりって!?」
誰が悲しくてスキンヘッドで髭面のオッサンに詰め寄らなければならないのか、しかし今はオッサンだけが最後の頼みの綱であった。
「聖職者の人だよ。
彼もちょうど雇ってくれる勇者を探していたみたいでね。」
「マジっすか!!」
しかも戦士でも魔法使いでもなく聖職者。
神に遣え、他者を癒す聖職者はかなり貴重だ。
「今その人、どこにいるんですかっ!?」
近すぎて、オッサンの方が身を引く。
「お、おお…確か、今もこのギルドの中に……あっ、いたいた!おーい、キミ!
仲間を探してたキミ!」
ギルドの中には複数の冒険者、または勇者がいた。
その中で、ある者が真っ先に振り返る。
「な…っ」
俺は唖然と口を開いたまま固まる。
そこにいたのはとんでもない美少女、いや美少年だった。
肩につくかつかないか程度で切り揃えられたおかっぱ頭、煌めく金髪。
綺麗な深い青の瞳。
つり気味の瞳はぱっちりと大きく、ガラス玉のように澄んでいる。
つやつやとした赤い唇に、すっと高く通った鼻梁。
陶器のように白い肌、頬にはわずかに赤みが差している。
中性的な外見の中に垣間見える、どことない少年らしさ。
細く、しなやかな身に纏うのは白いローブ。
その姿は美しさと共にどこか危うく、妖しい。
儚げでまるで人形のように整った美しい少年だった。
「そうそう、キミ、ちょっといいかな?」
少年が迷いない足取りでつかつかと歩み寄ってくる。
「もしかして、新しい勇者が見つかったのか?」
妖精のような外見の美少年だ。
声もまるで妖精のような、あるいは少年の声変わり前の美しいソプラノ声なのかと思った。
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