第二章《清美の能力の一部》

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第二章《清美の能力の一部》

 清美は顔を引き攣らせ青ざめながらサクリスとの間合いをとる。 「このことは、カイルディさんも知っているの?」 「フッ、そんな訳ないだろう。知ってたら、キヨミの傍になんて考えなかっただろうな」  サクリスはジリジリと清美の方へ近づく。 (どうしよう。このままじゃ……)  清美は更に後退する。 (……!? そういえば、能力……使ってみるか)  そう思いサクリスの方に両手を翳した。  サクリスは、ニヤリと笑う。 「何をするつもりだ? まぁ、聖女ったって攻撃できるような能力なんか持ってないだろうし」  更に間合いを詰める。  とその時、清美は手のひらを交差させた。  《聖なるオーラ!!》  そう言い放つ。すると清美の目の前にオーロラのような光のカーテンが現れる。  それはサクリスにみえない。 「ん? 何か能力を使ったみたいだが」  警戒し周囲をキョロキョロした。 「何もない。んー、失敗したのか?」  そう思いサクリスは、また歩き出し清美に近づく。 (気づいてない! みえないってこと?)  そう思いその場に待機する。 「フフッ、流石に観念したのかなぁ」  サクリスは清美の方へ手を伸ばし、光のカーテンに触れた。と同時に、弾かれ後ろの壁に激突する。 「グハッ!!」  壁に寄りかかるようにサクリスはグッタリと気絶した。  清美は大丈夫かと思いサクリスの傍に歩み寄る。 「やりすぎたかな? でもまさか、ここまで威力があるなんて思わなかったしなぁ」  そう思い清美は中腰になり警戒しながらサクリスの様子をみた。 「気絶してるみたい。息をしてるから大丈夫だね」  清美は「フゥ〜」っと息を漏らす。 (能力で何か使えそうなのあるかなぁ)  そう考えるとプレートをバックから取り出した。 (その前に更新しておいた方がいいよね)  清美はプレートの脇の小さな魔法陣に触れる。すると眩くプレートが発光した。  発光し終えるとステータスが更新される。  ★名前:キヨミ・ヒジリ ★年齢:16 ★職業:聖女 ★特殊能力:聖なる力  ★LV:5 ★HP:50000 ★TP:0 ★MP:5000  ★攻撃力:2500 ★防御力:15000 ★〇〇……――――  と、大幅に上がった。 (結構上がったなぁ)  その後、特殊能力の★に触れる。  するとプレートの下の空白部分に書き込まれていく。そこには、既存能力の他に新しく【オビーディエンス(服従)】と書かれていた。 (服従って……。でもこれって、今の状況にあってるんじゃ……)  そう思いながらサクリスに視線を向けた。 「うん、これは起きる前にやっておいた方がいいよね」  そう考えがまとまるとサクリスに両手で触れる。  《オビーディエンス!!》  そう言うと光のオーラが現れサクリスを覆った。すると急にもがき苦しみだす。  清美は大丈夫なのかと不安になりながらサクリスをのぞきみる。 (大丈夫かなぁ……)  しばらくしてサクリスは大人しくなりスヤスヤ眠り始めた。  それをみた清美は、ホッと安心する。 「あれ?」  清美はサクリスの首の左に小さな赤い羽根の紋章がみえ首を傾げる。 (これってなんだろう?)  再びプレートを手にし特殊能力の★を触った。すると能力の説明が記載される。 (【オビーディエンス】の能力について……あ、あった! これだね。【奴隷】……そういう事かぁ)  それが分かりなるほどと思う。  その後、清美はサクリスを自分のベッドに運び寝かせた。
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