第二章《待ち惚けと当て外れと木の上のエルフと》

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第二章《待ち惚けと当て外れと木の上のエルフと》

「お、そーい~」  あれから私は、しばらく噴水の前の長椅子に座りグレイを待っていた。だけど、いつになってもくる気配がない。あれだけあったムリゴはもうなくなった。  退屈で、さっき居た場所に視線を向ける。 「あの三人組、いつの間にか居ない。……まぁいっか、」  そう思い噴水の方をみた。  ――場所は、北東側にある酒場街に移る――  ここは酒場街の奥にある一軒の民家。  その建物の中には、グレイフェズと綺麗なお姉さんがテーブルをはさみ向かい合わせで椅子に腰かけ話をしていた。  いや、この綺麗なお姉さんは……女性じゃなく男性だ。そう、オネイ様である。  名前は、キャリー(本名、ジルキャルム・リズライ)。年齢は、二十五歳。  黄緑の長い綺麗な髪。前髪は右目が隠れるほどに長い。目つきはキツく時折、鋭くなる。  グレイフェズは難しい表情で考え込んでいた。 「ねぇ、グレイ。その話、気になるわね。聖女召喚について、ある程度なら知っているけど。巻き込まれて召喚、という事例は聞いたことがないわ」 「情報屋のお前でも分からない、か。そうなると、やはり他の町に向かう必要があるな」 「ごめんなさい、ねぇ。グレイ、役に立たなくて。……だけど、そのこと気になるわね。調べてみようかしら」  そう言いながらグレイフェズをジーっとみやる。 「キャリー、それは助かる。報酬は、」 「そうねぇ。報酬は、後払いでいいわ。それに、調べても……内容が内容なだけに分かるとも限らないし……」 「そうか、それは助かる」  グレイフェズは軽く頭を下げた。 「まぁ、アタシも久しぶりにこの町を出たいと思ってたところだしね」  そう言いウインクをする。するとグレイフェズは、それをみないふりをし目線を逸らした。  その後グレイフェズは、少し話をしたあとキャリーと別れこの建物をあとにする。  ――場所は変わり、タータム草原――  タルキニアの町から南東側にタータム草原がある。大草原とまではいかないが結構、広い。  草原の中央付近にある大きな木の上では、エルフの女性がビクビクしながら隠れていた。見た目は、十六歳ぐらいだ。  ブロンドの長い髪を手で払い周囲を確認している。 「どうしよう。まさか、変装がバレるなんて」  そう思いながら難しい表情をした。  そう、変装をし町を歩いてるところを数名の男たちに捕まる。その後、エルフだという事がバレたのだ。  それから奴隷商人の所に連れて行かれる途中、隙をみて逃げ出した。  そうそうこのエルフの女性は、ララファル・フォレバ。二百十六歳である。 「うん、あの三人……行ったみたい。だけど、用心にこしたことないわね。どうしようかしら……」  そう思いながらしばらく木の上で悩んでいたのだった。
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