第二章《三人で談話》

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第二章《三人で談話》

 ここは宿屋のグレイの部屋。  あれから私は、噴水の前でしばらくグレイを待った。 『暇だー暇だー』と時折、呟きながら周囲をキョロキョロしているとグレイの姿が先の方にみえる。  私は“良かった~……やっと来たぁ”と思い、ホッとした。  その後グレイが傍にくると私は、遅いと文句を言う。  グレイは謝ってくれた。だけど私は、更にムッとする。  それに対して、グレイは『そういう態度をとるなら、もうお前に何も教えん』とそっぽを向かれた。  私は言い過ぎたかもと反省し謝る。  それを聞きグレイは『分かればいい。……行くぞ』と言い、宿屋の方角を向き歩き出した。私はそのあとを慌てて追う。  その後、宿屋に着くと外でメーメルが待っていた。  現在、椅子に腰かけ円いテーブルに寄りかかりながら、私はグレイとメーメルの話を聞いている。 「……そういう事か。人攫いに、それは災難だったな。それで、連れを探すためにドルバドスさんの条件をのんだ」 「うむ、妾は早くムドルに会いたいのじゃ」  その名前を聞き私は、あのムドルさんが脳裏に浮かんだ。 「そのムドルさんて……もしかして、」 「ルイ、知ってるのか?」 「うん、今の話を聞いてて思いだしたんだけど。今日ね――――」  私は噴水の前で何があったのかを話した。  そう、三人組に襲われそうなところをムドルさんに助けてもらったこと。それから、ムドルさんがメーメルを探してたことも伝えた。 「なるほど、そんなことが……って、お前が怒ってた理由はそういう事か」  グレイはニヤリと笑い、なんか納得してる。……相変わらず異様だ。 「ルイっ! ムドルに会ったのじゃな?」 「会ったけど、居場所は教えなかったよ。メーメルに聞いてからの方が、いいかと思ったから」 「そうなのかぁ。それでは、すぐに会えぬな……」  ガッカリしているみたい。私はどうしたらいいのか思考を巡らせる。 「何か連絡をする方法でもあれば、いいんだがな」  それを聞き私は、ムドルさんからもらったペンと便箋のことを思い出す。 「あーそうだったっ!」  バックの中からペンと便箋を取り私は、テーブルの上に置いた。 「ペンと便箋?」  グレイは不思議そうに便箋を一枚だけ持ちみる。 「これは……魔法陣が描かれてる。なるほど、これなら連絡できるな。だが、これをどこで手に入れた?」 「ムドルさんが、メーメルをみつけたら連絡してって」 「そういう事か。そうなると早速、連絡した方がいいだろうな」  そう言われ私は、便箋の一枚に書き込んだ。そして、ムドルさんの名前を書き魔法陣に手を触れる。と同時に、魔力を注いだ。  すると便箋が発光し魔法陣が現れる。その後、魔法陣が展開し終えた。それと同時に便箋が、スッと消える。 「これ、凄いね」  私は目を輝かせた。 「凄いか。お前にとっては、そうなんだろうな」  そう言いながら、クスッと笑う。  メーメルは扉の方を、チラチラみている。早く会いたいんだろうなぁと私は、その様子をみて思う。  そして私たちは、ムドルさんがくるのを話しながら待った。
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