第二章《恋バナ? ……グレイフェズとムドルの場合》

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第二章《恋バナ? ……グレイフェズとムドルの場合》

 ここは商店街。グレイフェズとムドルは、話をしながらギルドへ向かい歩いていた。その後ろでは、泪とメーメルが楽しそうに話をしながら歩いている。  グレイフェズは、チラッと後ろを確認した。 (ルイ、か? 誰かの視線を感じたんだが……まさかな)  そう思い再び前を向く。 「どうしました? 後ろに何か、」  ムドルは気になり後ろを向いた。 「いや、なんでもない。ただルイとメーメルが、ちゃんと後ろにいるか確認しただけだ」 「……なるほど、そういう事ですか。そういえば、グレイフェズさんはルイさんのこと好きなのですか?」  唐突にそう言われグレイフェズは、顔を赤くしムドルをみる。 「なっ、いきなり何を……」  グレイフェズはムドルから目を逸らした。 「クスッ、その様子では図星という事ですね」 「それは……」 「まだ、告白されないのですか?」  そう言いムドルは、ニコニコしながらグレイフェズをのぞき込む。 「告白……か。ハァ、そうだな……本当ならそうした方が早い。でもなぁ、」 「そういう事ですか。ルイさんに告白して……ハッキリ断られるのが、怖いのですね」 「ああ、それもある。だが、それだけじゃない。ルイの素性は知ってたよな」  そう問われムドルは、コクリと頷いた。 「ええ、先程も話しましたが。ルイさんにお会いした時から気づいています。この世界の方とは違う匂いがしておりましたので」 「そうだったな。それなら……分かるだろう」  そう言いながらグレイフェズは、空を見上げ悲しい表情になる。 「なるほど、それは……確かにつらいですね」 「ああ……。今はこれでいい。ルイ(アイツ)がこの世界に居る間だけは側にいたい」  グレイは後ろに居る泪をチラッとみた。 「ですが、それで本当に良いのですか? 後悔はしない、と……」 「どうだろうな。恐らく、」  そう言いかけるとムドルは、クスッと含み笑いをする。 「後悔するでしょうね。まぁ、私には関係ありませんが。いえ、ありますか」 「ある……? どういう事だ。何を考えてる!」  グレイはムドルを警戒し睨む。 「クスクス……。グレイフェズさんがルイさんに手を出さないのであれば、私にも権利があるのかと思いましたので」 「ちょっと待て……お前、メーメルが好きなんじゃ?」  そうグレイが言うとムドルは首を横に振る。 「まさか。メーメル様は、あくまで私のお仕えする主人。それ以上でもそれ以下でもありません」 「なる、ほどな……」  グレイはニヤリと口角をあげると目を細めムドルを見据えた。 「俺が今のままなら、いつでもルイを奪うってことか」 「そうなります。ですが、今のお二人の関係を聞く限り……まだ間に合いそうですね」  宣戦布告をするとムドルは、見下すような表情でグレイに視線を向ける。  そう言われグレイは、ムッとした表情になりムドルを鋭い眼光で睨んだ。 「その様子じゃ、本気みてぇだな。面白いじゃねえか」 「そうですね」  二人の目と目が合い火花がバチバチと散る。お互い、ニヤリと口角を上げ睨み合う。  そしてその後グレイフェズとムドルは、無言のままギルドに向かい歩いていたのだった。
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