23

4/5
前へ
/265ページ
次へ
『なかなか難しいんだよ』 「なんで?」 『ボクの場合は、親にマンションを買ってあげてるんだ』 「そうなの?」 『うん。親には心配も応援もしてもらったからね』 「そっか。親孝行してるんだね」 『一応ね。でもさ、親に買ってあげた部屋より良い所に住むと思うから、気まずい。あと親は誰と付き合ったりしてるかは知らないんだよ』 「あー」 『部屋を見られたら分かると思うんだ。そして反対するし、勝手な事を兵役中にされても困るんだよ』 「会社に頼めば?」 『会社経由で頼んだとしても、色々心配だよ。ボク達の宿舎の掃除だって、今の形に落ち着くまで、バタバタしてたからさ』 AGEの管理物件は、AGEの掃除専門部隊が行っている。 外注に出していたんだけど、家主不在時に不適切な行動を起こす人が後を絶たなかったみたい。 スキャンダルは密の味だもんね。 『だけど、マキヌナに掃除を頼むのも気がひける。マキヌナの手はケアをする為でしょ。ミンジュンにキレられそう』 「私、掃除は上手じゃないよ」 『専門的にお願いしたい訳じゃないんだ。空気を入れ替えたり、届いた物を受け取ってもらったりさ。ボクは不在だから、汚れる事もないと思うしね。マキヌナが頼まれてくれるなら、ボクが給料出すから』 「本気で言ってるの?」 『結構本気だよ』 「ならば、本気で考えておくね」 『うん。前向きにお願いします』
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!

231人が本棚に入れています
本棚に追加