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「テヨンさんの彼、私見たよ」 「えー、どんな人だった?」 「ちょっと想像と違かった」 「サヨの妄想はヤバいからなぁ」 「いや、あんずも見たら驚くよ」 「めっちゃ気になる」 「見かけたら教えるよ」 「うん。楽しみ過ぎる」 Heavenのスタイリスト長であるテヨンさんは、ちょっとオネエが入っている方。 いつもスタイリッシュで、カッコ良いんだけど、眼光鋭く、スタッフの服装にも厳しい。 Heaven側近スタッフは、テヨンさんからのダメ出しに怯えていると言っても過言ではない。 それは私達も同じで、テヨンさんに日々怯えている。 「あと3日だね」 「飲んだくれ生活も終わりになっちゃう」 「ほんと、あんずは飲みまくってるよね。シャンパン何本空けた?」 「分からない。美味しいシャンパンが悪いんだ」 「そこまで飲む人だとは思わなかった」 「ほら、気候も良いから、あんまり酔わないし、すぐアルコール抜けるから、つい」 「たぶん、今回一番飲んでるよね」 「景色が最高だしさ。なんかバカンスって空気が私を狂わせるんだよ」 バリ島に来た当初は、側近スタッフ達とよく飲んだ。 そして、一人一人潰していけば、誰も声を掛けて来なくなった。 「あんずが酒豪だとスタッフの中で共通認識になったね」 「あまり嬉しくないけど」 「Heavenの撮影中、あんずにお酒渡して飲ましてると、撮影が早く終わるらしいよ」 「なに、それ?」 「ニコニコ飲んでるあんずの姿がヤツに刺さってるらしい」 「はぁ。くだらない」 「でも実際、あんずがいると撮影はサクサク進んでるよ」
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