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「ソユン行った?」 「うん」 「私達もご飯にする?」 「そーだね。こっちもバーベキューだっけ?」 「そうらしいよ。初日だから」 「じゃ、行こうか」 「うん」 サヨと二人で管理棟を目指す。 一応、コテージに鍵をかける。 いくらAGEのスタッフしかいないとはいえ、知らない人もいるしね。 私達のコテージから管理棟までは徒歩で5分くらい。 満天の星空を見上げながら、ポツリポツリと道を照らす灯りを頼りに歩いていた。 『こんばんは』 『こんばんは?』 『今からご飯?』 『はい』 『セブ島、凄いね。気持ち良い夜空だね』 『そうですね』 誰? 私達に話しかける人がいる。 見たこと無い顔に、ちょっとだけ警戒をする。 『所属は?』 『本国です』 『スタイリスト?メイク?』 『いや、えっと……。そちらは?』 『僕は、業務部。インチです』 『私はサトウです。こちらは真木』 『あれ、日本人?』 『そうです』 『韓国語上手いね』 『ありがとうございます』 彼は、業務部の人らしい。 初めて見る顔。 名前を聞いたのも初めて。 『二人共、可愛いね。日本人は可愛い子が多いよね』 『ありがとうございます?』 『バカンスでしょ?今夜は飲もうね』 お仕事じゃないんですか?って言葉を飲み込み、お世辞笑いを返した。 韓国の男性って、息吐くようにお世辞を言う。 だから、信用ならない。
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