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サヨは、アイス型のフロートに身を預け、私の目の前の海に漂っている。 コテージからせり出したデッキからダイレクトに海へ飛び込める。 デッキにはジャグジーがついていたり、サマーベッドが置いてあったりと、至れり尽くせり。 私はパラソルの下で、冷えたシャンパンを片手に、サヨを眺めている。 『こんにちはー。誰かいる?』 「サヨ、鍵閉めてないの?」 「ごめん、忘れたかも」 「もう!」 あれほど、防犯に気をつけるって話をしていたのに。 私はグラスを置き、玄関に向かった。 『はーい。どなたですか?』 『お疲れ様です。カメラ班の者ですが』 『お疲れ様です』 『マキさん?サトウさん?』 『マキです』 『イサさんからカメラ預かってきました』 『カメラ?』 『ケア中の様子を撮るようにと』 『あー、了解しました』 『設置します。どちらですか?』 『二部屋共?』 『はい。各部屋二台です』 ケアルームに案内すると、ベッドの横と下にカメラをセットした。 ベッドの下に設置したカメラは、うつ伏せに寝た時に顔が映るように置かれた。 完全に気を抜いた顔を撮る気らしい。 『いつもの様に撮ってくれれば良いから。とイサさんが言ってました』 『分かりました』 『データは一杯になったらください』 『本国に送りますか?』 『いえ、こちらで預かります。空いた時間に編集作業をするので』 『あー、お疲れ様です』 『こき使われまくりです。ではお願いします』
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