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機材をセッティングし始めたタイミングで私は彼らのコテージを出た。 海を照らす光が柔らかいものに変わっている。 私達のコテージはHeavenが使うコテージよりは小さいけど、十分な広さがある。 広々とした玄関を通り、リビングに行くとサヨがソファーに沈んでいた。 「おかえり」 「ただいま」 「夕飯どうする?」 「飲んじゃったから、あんまり空いてない。サヨは?」 「ちょっと空いたかな」 「食べに行く?」 「んー、もう少ししたら行こうか」 「うん。サヨは何してたの?」 「シャワー浴びて、ビール飲みながら映画みて寝落ちした。あんずは?」 「あっちで飲んでた」 「珍しいね」 「撮影の合間でさ。なんだかんだ言いながら皆飲んでた。これから撮影だから、退却してきたんだ」 「撮影してるなら、管理棟は空いてるかな?」 「今、準備してるから、空いてるかも。撮影が始まったら混みそうだよね」 撮影前の方がスタッフは忙しい。 撮影が始まってしまえば、手が空くだろうからね。 「あんずは無理しないで良いよ?私だけ行ってこようかな」 「一緒に行くよ。美味しそうなものあれば、持って帰ってくるから」 「それも有りだね。ツマミがあれば私も貰ってこよう」 今は眠いけど、そのうちお腹は空く。 朝まで空腹は避けたいからね。
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