堕落の小瓶

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「なにこれ?」 …子供達の寝静まった深夜。 ベッドで寝支度をしていたら、藤次に小さな瓶を渡され、絢音は小首を傾げる。 「んー?秘密。まあ、危ないモンちゃうから。サプリメントや。一滴飲んでみ?」 「サプリ?なんの?」 「あー…えっと、…女性の身体にええもん?ほら、今流行りのエクオール?やったっけ?まあとにかく、飲んで?」 「ふーん…」 どこか歯切れの悪い藤次の口ぶりが気になったが、絢音は蓋を開けてスポイトから一滴分を取る。 「あ!出来れば舌の下に乗せて。」 「?…うん。」 言って舌下で飲み下す絢音を見つめながら、藤次は彼女の寝巻きを脱がす。 「ど、どうや?なんか、感じるか?」 「えっ?!別に、なんとも無い、けど?って言うか、するの?」 「あ、当たり前やん!その為に飲ま…っと!」 「ん?」 「ああいや。さ、最近ご無沙汰やん?親業もええけど、たまには昔みたいに、お前と男と女になりたいねん。せやから、な?」 「まあ、そういえば、そうかも…なら、一回だけね?」 「う、うん!」 嬉しそうに頷き、ナイトブラをたくし上げて行く藤次に、ホントに好きねぇと呆れていた絢音だが、不意に…身体の芯が濡れてくる様な、甘ったるい情欲の小波がきて、思わずキュッと太腿を閉じる。 「?…どないした?そない固く閉じられたら、脱がせんやん。」 「あ、その…ごめんなさい…」 「?」 小首を傾げながら、緩まった下半身の衣服を脱がして、藤次も自らの寝巻きを脱ぐ。 「(や、やだ…なにこれ…)」 最早飽きるほど見てきた藤次の裸なのに、今日はやけに魅力的に見えて、まだ何もされてないのに、じわりと股が濡れてくるのが分かる自分に、絢音は戸惑う。 そんな妻の動揺に気づいたのか、藤次は不敵に嗤いながら、首筋に顔を寄せ、うなじにキスをする。 「ひゃっ!!」 ビクンとしなった身体に指を滑らせながら藤次は唇を胸へと伝わせる。 「効いてきたみたいやな…どうや、気持ちええか?」 「効いてきたって、なにが……ってあ!!」 胸の先を舌と指で弄ばれる度に、いつも以上に感じてしまい、子供達が寝ていると言う事も忘れて、本能のままに声を上げる絢音の身体を存分に貪り、藤次は問う。 「なあ、そろそろ、どうして欲しい?」 びしゃびしゃになった秘所の入り口を指で扱きながら焦らしてみせると、腰が挿れて欲しいと妖しくくねる。 「言わせないでよ。早く…」 「早く?どうして欲しい?ちゃんと言って。」 「イヤ……恥ずかしい……」 「まだそんな理性残ってんのか。ほら…」 抱き起こし、自分の勃った性器をしっかり見せると、絢音はトロンとした物欲しげな表情でそれを見ながら、モジモジと腰を動かす。 「これが、欲しいんやろ?これは、なんや?言えば、挿れて気持ちようさせたるえ?」 「イヤ…言えない…」 「欲しないんか?ほら、ほら…」 跨らせ、入り口にチラチラと当てて焦らしてると、絢音が挿れようと腰を落としてきたので躱す。 「イヤ…意地悪しないで…早く、頂戴…疼くの…」 涙目になって必死に乞う絢音を満足げに見下ろし、藤次は彼女の耳元で囁く。 「なら言うて。その口で。俺のナニを、挿れて欲しいん?」 「…………さい。」 「聞こえん。もっと大きい声で、目ぇ見て言うて?」 そうして視線を合わせて問うと、とうとう観念したのか、絢音の濡れた唇が物欲しげに動く。 「藤次のおちんちん、私の中に、下さい…」 「ええ子や…思い切り、味わい…」 脚を持ち上げて身体に割り入り、絢音のぐしょぐしょに濡れた膣内に自らを沈めると、嬉しそうに身体が跳ねるので、腰を押さえて、激しく蹂躙する。 「あん!いいっ!!いい藤次!!もっと、もっと!!」 「ねだってばっかじゃあかんやん。俺のことも、気持ちようさせて…」 そうして体位を騎乗位にし、動くのをやめると、絢音は腰をくねらせ妖しく乱れる。 「ああ…ええ…これや、俺がお前に求めとったのは、このお前や……」 「藤次…藤次…」 「絢音…」 出し入れしながら濃密に口付けを交わし、体位を後背位にして、ふっくらとした尻を鷲掴み突き上げる。 結合部からは蜜が滴り落ち、シーツに大きなシミを作り、中は精を求めるかの様にどんどん狭くなり、藤次は眉を顰め熱い吐息を吐く。 「ええ、ええ…もうアカン!出る………ッ!!」 「ああっ!!!」 ほぼ同時に達し、絢音の中に藤次は射精する。 その熱に身体を震わせ、絢音はベッドに倒れ込み、激しく呼吸をする。 その様を見つめながら、藤次はゆっくり自身を引き抜き横に寝そべり、汗で頬に張り付いた髪をかき揚げそこにキスをする。 「どうや?久しぶりの、男と女のセックス…俺は、めちゃくちゃ良かったけど?」 「藤次…」 掠れた声で名前を呼び、身を翻して身体に縋る絢音の髪を撫でると、彼女の濡れた唇が動く。 「まだ、疼くの。お願い、鎮めて…」 そうして性器を握って扱いてくる絢音の大胆さに、藤次はクッと、喉を鳴らして嗤い、彼女に跨りながら心の中で呟く。 「贋物(パチモン)や思うてたけど、効果覿面やな。あの媚薬…)」 …藤次が絢音に飲ませたのは、女性を性的に興奮させる、いわゆる催淫剤と呼ばれる媚薬。 理性的な賢母も良いが、かつての淫らな娼婦が見たくて、こっそりネットで買った…ベッドの脇に置かれた小瓶を見つめながら、藤次は甘美な情事に、絢音と共に溺れて行った。
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