0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
船出の時
長い間
暗く寂しく孤独な時を過ごしてきた
海辺に映る優しい月の光だけが私を包んでくれていた
何度も何度も
海を渡っていく船を見続けていた
誰も私に気付かず
誰も浜辺に近付いては来なかった
広大な海
広大な浜辺
そんな所に一人居ても
私の姿はとても小さく
夜の世界に溶け込んでいたら
気付くはずもない
月の光を受けながら
船が浜辺に近付いてきた
船はとても大きく
月の世界から来たのかもしれないと思う程
それは一瞬で私の視界に入った
船から放たれる優しい光
月の優しい光よりも
それは輝いていて愛に溢れていた
船から私を呼ぶ声
それはずっと待っていた
愛しいあなたの声
大きな船
そして大きな愛
満月の夜
あなたは私を迎えに来てくれた
広大な海に負けない程の愛を持って
長く
とても長い時間
ずっと一人だった
だけどこれからはあなたが乗ってきた船とあなたと一緒にこの広大な海を二人で流れていく
新しい人生への
二人での幸せな時間への
船出の日
もう一人じゃない
愛するあなたがいる
愛してくれるあなたがいる
それが全て
二人なら荒波も乗り越えていける
二人なら何も怖くない
二人の船出は幸せへの一歩
最初のコメントを投稿しよう!