船出の時

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船出の時

長い間 暗く寂しく孤独な時を過ごしてきた 海辺に映る優しい月の光だけが私を包んでくれていた 何度も何度も 海を渡っていく船を見続けていた 誰も私に気付かず 誰も浜辺に近付いては来なかった 広大な海 広大な浜辺 そんな所に一人居ても 私の姿はとても小さく 夜の世界に溶け込んでいたら 気付くはずもない 月の光を受けながら 船が浜辺に近付いてきた 船はとても大きく 月の世界から来たのかもしれないと思う程 それは一瞬で私の視界に入った 船から放たれる優しい光 月の優しい光よりも それは輝いていて愛に溢れていた 船から私を呼ぶ声 それはずっと待っていた 愛しいあなたの声 大きな船 そして大きな愛 満月の夜 あなたは私を迎えに来てくれた 広大な海に負けない程の愛を持って 長く とても長い時間 ずっと一人だった だけどこれからはあなたが乗ってきた船とあなたと一緒にこの広大な海を二人で流れていく 新しい人生への 二人での幸せな時間への 船出の日 もう一人じゃない 愛するあなたがいる 愛してくれるあなたがいる それが全て 二人なら荒波も乗り越えていける 二人なら何も怖くない 二人の船出は幸せへの一歩
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