かっこよくて怖い人

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「今日はベッドじゃなくても“知颯”って呼んでくれて可愛いね」 「あ」 「『あ』ってなに?」 「ほんとだ。呼べてる」 「気付いてなかった?」 「うん」 ベッドに下ろされてどきどきし始める。 キスをしながら知颯が優しく服を脱がせてくれて、俺も知颯のシャツを脱がせる。 「あんなあとで怖くない? 怖かったらやめるよ?」 「うん。知颯なら怖くない。今すぐ触って欲しい」 「よかった」 肌にキスが落ちてきて、今川くんのキスとは全然違って全身が熱くなる。 舌が這って、声が漏れてしまうのを堪えていたら急に知颯の動きが止まった。 脇腹をじっと見ている。 「知颯…?」 「……」 「?」 脇腹をじっと見ているので俺もそこに視線を落とすと。 「!」 そこにくっきりと赤い唇の痕が咲いている。 知颯はその痕を何度も指でなぞる。 「…これ、雅臣がつけたの?」 「……」 「透?」 「…うん」 「そう…」 そこを舐め、上書きするように何度も何度も吸い上げる。 重なる小さな刺激に声が抑えられない。 恥ずかしいのに自分から腰を揺らしてしまう。 「あ…ちはや…」 「透は俺のものだから、こんな風に他の男の痕なんて二度とつけさせちゃだめだよ」 「うん…ごめ…あ、あっ!」 知颯が脇腹にキスをしながら奥の蕾に触れ、指を忍び込ませる。 丁寧にほぐしながら、俺の顔を覗き込む。 「ここは? 触られた?」 首を横に振ると指が増やされて腰が震える。 「ほんとに?」 「っ…ほんと、に…、さわられて、ない…」 更に指が増やされたのを感じる。 奥に進む指がいつもの場所に触れればすぐにおかしくなる。 「っ! …っぅぁ…っ!」 「声抑えないで」 口を覆う手を外されてぎゅっと握られる。 その手を握り返したら今更だけどすごく安心した。 俺を守ってくれた手…大好きな手。 「あっ、だめ…も、だめ…!」 「イきそう?」 こくこくと頷いて知颯の手をぎゅっと握ると指が抜かれた。 「イくのは俺のでイこうね」 「ん…」 唇が重なって舌が絡まる。 ちゅ、ちゅと舌先を何度も吸われてその度に腰が震える。 ぐっと一気に奥まで知颯でいっぱいになって、同時に俺が達すると知颯が綺麗な顔を歪めた。 「透、そんなに締め付けないで」 「あ、あ…はぁ、あ、まって…いまイッてる…! …っ!」 動きを止めない知颯にしがみ付き、おかしくなる快感に溺れる。 呼吸ができなくなるくらい気持ちいい。 知颯が何度も何度もキスをくれる。 ぬめる舌と唾液が甘くて頭がぼんやりしてくる。 「あっ! ちはや、すき…すき…っ」 「うん、俺も好きだよ」 「もっといって…っ…んっ!」 「好きだよ、透」 知颯が『好き』と言う度にゾクゾクする。 奥を突かれるより、弱いところを擦られるより気持ちいい。 もっともっととねだると、知颯は動きながら何度も何度も『好き』を繰り返す。 その度に俺はイッてしまう。 『好き』を何度繰り返されて、限界を何度繰り返したかわからない。 でもまだ足りない。 もっと知颯が欲しい。 「ぅあっ!!」 「またイッた? すごいね、透」 「…ちはやぁ…」 「うん。好きだよ、透」 「ひぁっ!! あっ、ぅ…ぁ…!」 奥をぐっと突きながら、知颯が俺の耳元に顔を寄せる。 「透は俺のものだよ…ずっとずっと、永遠に俺だけのもの」 蕩けてしまう低く甘い声。 俺は、知颯のもの。
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