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俺より五分遅く起きる知颯に、おはようを言う。
朝ご飯を一緒に作って食べながら、どきどき。
「ち、知颯っ!」
「なに?」
勢いがつき過ぎた。
知颯がきょとんとしてる。
言え、言うんだ。
「…好き」
「!」
これからはベッドじゃなくても好きって言い続けたい。
「じゃあ、いつも透が言う、『他の子のとこ行きたくなったらいつでも行っていいからね』なんてばかな事、二度と口にしないでね」
「うん…ごめん」
もう二度と言わない。
だって本心じゃないから、二度と言いたくない。
「もう一回言って」
知颯が俺の手を取ってきゅっと握る。
どきどきして顔が熱い。
ひとつ息を吸って。
「知颯、好き」
知颯の嬉しそうな微笑みに心が蕩けていく。
「あの、知颯にお願いがあるんだけど…」
「なに? なんでもしてあげる」
「……今度、知颯の行ってる美容院、一緒に連れてって」
「!」
知颯が目を瞠る。
俺はたぶんさっきより真っ赤だ。
「…だめかな」
「いいよ、一緒に行こう」
すごく嬉しそうな知颯。
これからは、ちょっとずつでも俺も知颯に歩み寄っていきたい。
END
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