きみをください

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◇◆◇ おにぎりを食べながらふたりで麦茶を飲む。 味がわからない。 「……俺、結人さんが好きです」 ぽろっと言ってしまった。 最悪……もっと雰囲気とか気にしないとだめだろう。 でも、さっき言えなかった言葉がずっと喉に引っ掛かっていて、早く飛び出したいとぴょこぴょこしていて思わず言ってしまった。 「俺も啓真が好きだよ」 「ありがとうございます…」 とりあえずこれでいいのかな。 気持ちは伝えた。 それで? このあとどうしたらいいんだ? 「……」 おにぎりを食べ終わって、床に置いたクッションに並んで座って話していたら結人さんが俺を抱き寄せた。 また優しい体温を感じて体重を預けると髪を撫でられた。 「啓真はどうしたい?」 「え?」 「俺は啓真を抱きたい」 「!!」 抱きたい…。 顔が燃えるかもっていうくらい熱くなる。 そうか、そういう流れになるのか…。 だって結人さんは俺が好きで、俺も結人さんが好きなんだから。 「ようやく啓真が手に入ったんだ。啓真が欲しい」 「……あの」 「でも無理強いはしない」 「……」 どうしよう。 こういう時ってどうしたらいいんだろう。 「啓真が思ったままを言って?」 「思ったまま…」 今、俺が思う事…。 「じゃあ、あの…もう一回、あれ…言ってください」 「あれ?」 「……一番初めに、店で言ってくれた…」 結人さんはそれですぐにわかってくれたようで、俺の手を取ってぎゅっと握る。 「きみをください」 低い声が紡ぐ告白に、あの時と違って心が震える。 「……待たせてごめんなさい」 ゆっくり結人さんの顔が近付いてきて、優しく唇が重なった。
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