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…
「毎週毎週よく行くよな」
「それはこっちのセリフだわ」
大貴と顔を合わせるのは7回目の2月1週目。
駅前に立っていた大貴は何故か私と一緒に改札を通る。
「…忘れ物でも取りに行くの?」
「いや、お前とちょっと話そうかと思って」
「は?」
ボードケースを前に抱え、いつも通りシートの端に座る。
その横に少し隙間を開けて大貴が腰掛けた。
『電車乗ったよ』『了解』今日もすぐに返信がくる。
「何?誰かと待ち合わせしてんの?」
「あぁ、うん。新宿で」
「大学の友達?」
「いや、高校の」
「いつも一緒に行ってんの?」
「まぁ、大体いつも一緒かな?たまに1人の時もあるけど」
「その人…どんな人?」
「え、日奈子?どんなって…うーん…明るくて行動派なサバサバした子よ」
「そっか」
「何?」
「来週もその人と一緒に行く感じ?」
「どうかなー…多分。いつも次の予定は会ってから決めるって感じだから」
「来週さ、俺と行かね?」
「え⁈」
「予約しといてよ」
「良いけど…大貴、スノボやるんだ?『またスノボかよ』とか言ってたくせに」
「まぁ、そこそこは」
「今シーズン何回行った?」
「年末新潟行ってた」
「そうなんだ…そっかそっか」
「場所はどこでも良いから」
「オッケー。じゃあ、2人分予約しとくね」
「おぉ…予約取ったら連絡して」
「私、大貴のLINE知ってたっけ?」
「卒業する時交換した」
「そうだっけ…えーっと」
「…」
「あれ、うっそ⁈アイコン…これ私が昔描いたゆるキャラじゃん」
「連絡忘れんなよ」
「…ほい」
「ちょ…変なスタンプ送ってくんじゃねぇよ」
「これでトークの1番上になった」
「…」
「あ、仕返ししてくんなっつーの」
「よし…用済んだし、次の駅で降りるわ」
「あぁ、うん…」
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